こんにちは、マネ子です!
今回のテーマは「利率」と「利回り」です。
「これは利率の高い定期預金だ」とか「あれは利回りの良い金融商品だ」など、「利率」と「利回り」は、お金にまつわる話題でよく耳にする言葉ですが、実はその違いを理解していない人もいるかと思います。
似ているようで実は違う「利率」と「利回り」
知らないまま資産運用を始めると、せっかくお金を投資したのに思ったより増えてない⁉なんてことがあるかもしれません。
そんな後悔をしないために、投資初心者でもしっかり理解できるように分かりやすく「利率」と「利回り」の違いを解説していきます!
利率とは?
まず利率というのは、運用する金額(額面金額)に対して、1年間に発生する利息の割合のことです。年利ともいいます。
主に単利で運用する商品の収益性を表すときに使われます。
金融商品にあらかじめ決められている収益を数値化して、利率〇〇%や、年利○○%などと表示します。
たとえば、100万円を利率3%の定期預金で運用すると、1年間に受け取れる利息は3万円です。
2年目に受け取れる利息も3万円、3年目に受け取れる利息も3万円です。
5年後には、利息で受け取った15万円と元本の100万円をあわせて115万円になります。
これが単利商品で、100万円を5年間、利率3%で運用した場合です。
利率とは元本に対する利息の割合!
利回りとは?
一方利回りというのは、運用する金額(額面金額)に対する利息も含めた1年間の収益の割合のことです。
複利分を考慮したり、投資をする上でかかる諸経費が含まれるので、複利の運用商品の収益性を計るときに使われます。
これも例をあげると、1年複利の定期預金で100万円を3%の利率で運用すると、1年後には3万円の利息が受け取れますが、2年目にはその利息が元本に合体して103万円になります。
すると2年後に受け取れる利息は103万円の3%なので3万900円になります。
複利で運用する金融商品は、運用期間が長くなると利息も増えていきます。
3年後に受け取れる利息は3万1,827円、4年後に受け取れる利息は3万2,782円。
5年後には3万3,765円の利息が受け取れることになり、元金と合わせると115万9,274円になりました。
5年間で15万9,274円増えたので、1年間の平均値を計算すると3万1,855円になります。
元本は100万円なので
3万1,855円 ÷ 100万円 × 100 = 3.1855%
利回りは3.1855%となります。
これが複利商品で100万円を5年間、3%の利率で運用した場合の利回りです。
つまり、その利益を手に入れるのにいくら使ったのかという割合が利回りということになります。
いくら投資して、いくら儲かったのかというのが利回りです。
利回りは元本に対する利息も含めた収益の割合!
気を付けたいのが、複利商品で5年利回り○○%という謳っている金融商品。これはあくまでも5年間運用した場合の利益を表しているので、中途解約をするとそこまでの利益が得られない場合があります。
また不動産投資などでは、よく「表面利回り」と「実質利回り」という言葉を聞きます。
表面利回りとは、想定される年間の家賃収入を物件の購入価格で割った金額です。
5000万円でマンションを購入し、利回り10%と想定した場合、年間500万円の家賃収入が見込めることになりますが、実際には保険料や修繕費、固定資産税など様々なコストがかかります。
こういった経費を差し引いた利回りが実質利回りと呼ばれるものです。
不動産広告は、利回りが高く見える表面利回りで表されるのが一般的です。
表現の仕方によっては、高く見せたり低く見せたりすることができてしまいます。
一口に利回りといっても、実際には大きな差が出る場合もあるので、利回りが○○%になる要件をしっかりと確認することが重要です。
債券における利率と利回り
債券を例に見てみましょう。
【ケース1】額面金額100万円、利率3%の債券を95万円で購入し、5年間保有した場合
額面金額に対して3%なので、毎年利払い日には3万円の利息が受け取れます。
3万円 × 5年間 = 15万円
5年間の利息は合計で15万円になりました。
償還日には95万円で買った債権は100万円で償還されるので
100万円 - 95万円 = 5万円
償還差益は5万円になります。
利息の15万円と償還差益の5万円を合わせて、5年間で20万円の利益が出たことになります。
1年間の平均値は4万円なので
4万円 ÷ 95万円 × 100 = 4.21%
この場合の利回りは4.21%となります。
【ケース2】額面金額100万円、利率3%の債券を105万円購入し、5年間保有した場合
額面金額に対して3%なので、毎年利払い日には3万円の利息が受け取れます。
3万円 × 5年間 = 15万円
5年間の利息は合計で15万円になりました。
償還日には105万円で買った債権は100万円で償還されるので
100万円 - 105万円 = -5万円
償還差益は-5万円になりました。
利息の15万円と償還差益の-5万円を合わせて、5年間で10万円の利益です。
1年間の平均値は2万円なので
2万円 ÷ 105万円 × 100 =1.90%
この場合の利回りは1.90%となります。
ケース1も、ケース2も、同じ利率3%の債券ですが、利回りは大きく変わりました。
債券で資産運用をする際には、利率ではなく利回りを見なければならないということが理解できたと思います。
実際の利回り計算は税金なども考慮する必要がありますが、今回はわかりやすく単純に計算しました。
投資信託における利率と利回り
次は投資信託を例にみてみましょう。
投資信託は基準価額が毎日変動するので、利率ではなく利回りを使います。
【ケース1】毎月分配型の投資信託を100万円購入し、1年間で合計5万円の分配金を受け取り、1年後5%値上がりしたので売却した場合
この場合、1年間で10万円の利益が出たことになります。
10万円 ÷ 100万円 × 100 = 10%
したがってこの投資信託は利回り10%で運用できたことになります。
【ケース2】毎月分配型の投資信託を100万円購入し、1年間で合計5万円の分配金を受け取り、1年後10%値下がりしたので売却した場合
この場合、1年間で5万円の損益が出てしまいました。
-5万円 ÷ 100万円 × 100 = -5%
したがってこの投資信託は利回りがマイナスとなりました。
投資信託は預金のように元本が保証されていません。そのため、利益が確定している預金や債券の利回りとは異なります。
投資信託の利回りは、大きくなることもあれば、マイナスになる可能性もあるのです。
また実際に投資信託の利回りを計算する場合には、取得価格や税金のほかに手数料なども考慮する必要があります。
まとめ:金融商品を選ぶときは利回りで判断するべし
- 利率とは投資金額に対する利息の割合
- 利回りとは投資金額に対する利息も含めた利益の割合
- 金融商品は利率ではなく利回りをチェック
似ているようで、全然違う「利率」と「利回り」について解説しました。
利率が高くても、取得価格や収益、配当、税金なども加味してみると変わってくるのが利回りです。
金融商品を買うときには、様々な要件を加味して使う利回りで判断することが大切でしょう。